松本「僕は人の話を聞いてないことが多い」

松本人志の著書『哲学』より引用

 

 僕は、「いつも何かを考えながら喋っているように見える」と人からいわれることがある。

 たしかに、そうかもしれない。

 自分の感覚でいうと、頭の中に何個か考えがあって、そして、その場でそのうちのどれを喋ろうかと選んでいる感じなのだ。

 これは、ふだん舞台の上でトークしてるときも同じで、だから僕は人の話を聞いていないことが多い。

 あんまり自分の番組のオンエアチェックはしない方なのだけれど、たまに、なんかの拍子でぱっとテレビを見たときに、「あれっ、このとき浜田はこんなことゆうてたんや」と気づくことがよくある。

 相方の話すら聞いていないのだ。

 まあそれは、僕が考えてる間、浜田がちゃんとやってくれてるから、安心して考えていられるということなのだけれど。

 トークのときはおろか、漫才のときですら、僕は考えながら喋っている。

 他の漫才の人が聞いたら、びっくりするかもしれないが。

 

松本人志他『哲学』幻冬舎2002年、8889頁。