松ちゃんの腹立つこと(甘口カレー編)

ダウンタウンのフリートーク。

 

松「ちょっとした会話のなかで、なんか知らんけど、段々喧嘩みたいになっていくことってありますよね」

浜「はいはい」

松「あのね、僕このあいだね、ある人と喋ってましてね。"甘口のカレーが好きや"って言いだしたんですよ、そいつが。僕は、甘口のカレーっていうものをね、絶対認められないんですよ」

浜「まあ、君の意見としてはね」

松「僕の意見としてはね。ていうか、そんなん無いじゃないですか。甘口のカレーって」

(観客笑う)

松「なんなんですか?甘口のカレーってなんなんですか?」

浜「いやいや、辛口があるんやったら、甘口もあるやん」

松「いやいや、ノンノンノンノン」

(観客笑う)

松「"カレー"という言葉のなかに、もうすでに"辛い"という意味が含まれとるわけですよね」

浜「いや、それはでも」

松「だから、例えば、"そんなに辛いカレーは苦手だから、普通ぐらいのカレーが好きだ"って言うなら、僕わかるんですよ」

浜「うん」

松「だからと言ってね、なぜ甘いまでいってしまうのかが(わからない)。滅茶苦茶な言い分じゃないですか、それって」

浜「いや、でも」

松「アカン、だんだん腹立ってきたわ!」

(観客笑う)

松「これはね、こういうことですよ!部屋にバッと飛び込んだときにね、"ちょっとクーラー効き過ぎ。クーラー止めて"って言うならわかりますよ。"クーラー効き過ぎ。暖房に切りかえて"って言ってるようなものですよ」

(観客笑う)

松「でしょ?!」

浜「いや、違うやん。調理によっては甘くもなるし、辛くもなるやん」

松「いやいや。例えば、車に乗ってるときに、"スピード出し過ぎてるよ。スピード弱めて"って言うならわかりますよ。"スピード出し過ぎてるよ。バックで行って"

(観客笑う)

松「でしょ?!」

浜「いやいや、それは極論やて!」

松「全然極論じゃない!!極論って言うならば!!」

浜「やかましい!」

(観客笑う)

浜「辛いのもあれば、甘いのもあんねん!カレーは辛いっていうのは、それはお前の意見やん!」

松「いや、意見じゃなーい!!」

(観客笑う)

松「絶対、カレーっていうのは」

浜「いや、違う。カレーっていうのは」

松「醍醐味ですよ、醍醐味ですよ。あんた」

浜「なんで二回言うねん」

(松本笑う)

松「それは僕もね、最初は笑いながら言うてたんですよ。そしたら、"俺はカレーをもう食べたらアカンいうことやな"って。こんなこと言われたんですよ!!」

(観客笑う)

松「"ああ!そうやなぁ!!"って、僕もグワーッとなってきて」

浜「大人げない。別に、甘いの食おうが、辛いの食おうがかまへんやん」

(松本笑う)

松「腹立つわ~。「星の王子様」なんてコレ《往復ビンタ》ものですよ!(幼児向けのカレールゥ。正しくは「カレーの王子さま」)」

浜「だから、子どものこと考えたら辛いの食われへんやんか」

松「食うな!ほんなら!」

(浜田苦笑い)

松「ええわ!ええわ!じゃあ、いいですよ」

浜「なんや」

松「じゃあ、カレーっていう名前を使うな」

浜「なんで?なんで?」

松「"フリンフォン"とかね」

(観客笑う)

松「そんな名前にしてほしいです。全然違う食べ物です。"フリンフォン"です」

浜「絶対、せぇへん」

松「カツ"フリンフォン"です」

浜「いや、絶対ない」

松「ビーフ"フリンフォン"ですよ」

浜「いやいや、ビーフ"カレー"

(松本笑う)

松「じゃあ、お前、今ここにカレーがありますね。カレーをカプッと口に含んだときに、カレーの良さはなんなの?カレーに何を求めているの?」

(浜田笑う)

松「ジャガイモのホクホク感?ノンノンノンノン」

(観客笑う)

松「"辛さ"なんでしょ?」

(浜田笑う)

松「ねぇ?認めちゃえよ!!好きだって言っちゃえよ!!お前!」

(観客笑う)

浜「"大人でも辛いのは無理や"っていうのは、わからんねんで。俺も。"なんで?"って」

松「そうでしょ」

浜「"辛いほうが美味いやん"って思うけど。でも、おるんですよ。辛いのが食われへん人も」

松「あっ、こういうことがひとつ言えるんですね。昔の家庭っていうのは、親父が大黒柱であり、親父が辛いカレーを好むと、子どももその親父に合わせて辛いカレーを食べなければないけなかったんですよ」

浜「はいはい」

松「ところが、今は違うんですよ。子ども中心の家庭になってしまってね」

浜「あ~」

松「親父が子どもの甘いカレーに歩み寄っていく形になってるでしょ」

浜「それはいかん!」

松「そういうことなんですよ!」

浜「作ったらええねん。甘いのも」

(観客笑う)

松「……ワレ、なにぬかしとんねん」

浜「別で作ったらええねんな」

松「親父用と子ども用と」

浜「そうそうそう」

松「そんなん、絶対あかんやん」

浜「だからウチは別々につくってますよ」

松「……超、高々級」

(観客笑う)

松「すごいね!」

浜「そんなことはない」

松「すごい!」

浜「そんなことあれへん」

松「スターやな!」

(浜田笑う)

松「じゃあ、甘いのと辛いのがあって」

浜「そうです」

松「好きなふうに、立食みたいに」

(浜田笑う)

浜「《皿持ちながら》並んでんのかい!」

(観客笑う)

松「もう、僕の前で二度と、"甘口カレー"という言葉を聞かさないでほしい。そんなものは存在しない」

浜「ほんなら、"中辛"とかあるやんけ。アレなんやねん」

松「そんなものも邪道なんですよ。"カレー"というのを、"カレー"って言葉を辞書で引けよ!じゃあ!引けばいいが!」

浜「なんて載ってるの?」

松「"それはもう、それはもう、ものすごくとろみの、お口いっぱいに広がる……"

浜「《舞台裏のスタッフに向かって》調べてー!」

(松本笑う)

(百科事典が出てくる)

浜「"カレー"……ん?どこに書いてんの?」

(松本指をさす)

浜「"自動車の車庫。ギャレージ"

(観客笑う)

松「もっとこっち」

(二人で辞書を見つめる)

浜「どれや?いまいちわからへん」

松「ちょうどええのんないわ~」

(浜田笑う)

松「読みぃな」

浜「"オールスパイス、調香などを粉末にして混ぜた刺激性の香辛料"

松「そこ見てみぃや!」

浜「"カリー"

松「"カリー"!」

(観客笑う)

松「刺激って書いてあるやんけ!刺激が!甘いものを食うて何が刺激があるねん!だから、カレーじゃないんねん、甘口カレーってのは!」

(観客笑う)

松「刺激じゃ、刺激!"甘~い"っていうのが、何が刺激があんねん!」

(浜田黙る)

松「甘くて刺激があるのは、恋愛ぐらいなもんや」

(観客歓声)

 

 

***解説***

ダウンタウンガキの使いやあらへんで!!」より「フリートーク」

 

放送年不明。