上岡龍太郎のダウンタウン十年後論

ダウンタウン上岡龍太郎のトーク。

 

上「(ダウンタウンは)十年後どうなってる?」

松「十年後ですか」

浜「今、二十六(歳)やから、三十六ですね」

松「十年後ねぇ。三十六」

上「二十六からの十年後、自分ら怖いぞ!」

松「え、なんでですのん」

上「僕は二十六で解散やから。ちょうど漫才(を解散したのは)。でね、例えば、学問であれ、文学であれ、絵画であれ、芸術、いろんなことを見てもね、一九から二十六までの間に考え付いたり、発想したり、ため込んだことが一生を左右するね」

浜「うーん」

上「例えば、ノーベル賞を受賞した人の論文が、三十五歳で発表したにしろ、その人がその説を思いついたのは十九から二十歳、二十六までに決まったことやった。どんな絵画、あるいは文学作品、どんな素晴らしいものをかいたとしても、皆その年代でやり遂げてんねん。ところが、それからのことはそれまでの如何で食べるだけ。つまり、経験と知識と、それを生かすだけ。二十六を過ぎてから新しい発想なんて絶対生まれてけぇへん。だから、今までの君ら(ダウンタウン)の、どれだけ勉強したか、ため込んだか、発想したかが、これからを左右するから怖いよね。ハッキリでてくる」

松「ほぉ~」

上「ざまぁ見やがれ」

(浜田笑う)

松「ということは、二十六まで楽をしていた人間は、もうあとは」

上「いや、楽はええねんけどもね。生まれつきそいういう素質を持った(何歳まででも発想が豊かな)奴もおるしね」

浜「でも(上岡さんは)どうやって乗り切ったんですか?二十六以降は。溜めていたものがあった」

上「僕は漫画トリオ時代に"辞めたい辞めたい一人になりたい!"と思っていたから、(二十六歳で解散した後は)"よーし、ヤッタ!一人になったぞ"と思ったけど、なかなか(思うように)できないんですよね。最近かな、"あー、コレが僕の考えていたことやった"って、自由にやらしてもらえるようになったんは」

浜「今の仕事が。そうですか」

上「だから二十年後やね、楽しみはね、二人の。どうなっているかなぁ、まぁコンビは辞めてるかな」

ダウンタウン笑う)

上「吉本には居てるかなぁ。いや、吉本は離れてるか。吉本はもう絶対、芸人を手放すから。これから」

(松本笑う)

松「効率の悪い、こんな儲けの上がらんものを」

浜「なにが、なにが効率の」

上「そりゃ、いけす料理屋やってるほうが儲かるもの」

松「そりゃそうなんですよ」

上「絶対そうや。効率悪いもん!《ダウンタウンを指さし》人件費はかかるし、文句は言うしやな。僕が林正之助(当時の吉本興業社長)でも嫌やわ」

浜「でも、使えるうちはね」

上「そうそう。ティッシュペーパーやからね」

浜「でしょうねぇ。ま、そこまでに行く間がね、どのように我々が考えるかは」

上「楽しみやの」

 

 

***解説***

「ツキイチダウンタウン」より「ダウンタウンのばべぼてれび」

 

1989年放送。

上岡の予測に反し、ダウンタウンは放送から二十年どころか二十五年経った今でもコンビを解散していない。(2014年現在)

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